『青色オヤジン』

昭和の浪人生の純真な恋愛観をほのぼのと書下した小説は、軽いタッチで読みやすく、時代の浪人を経験した人には懐かしく、現代の高校・浪人生には海馬に新鮮にうつることだろう。冒頭を過ぎたころから俄然面白みが増し、中だるみしがちな中盤から、終盤にかけて、楽しさが込み上げてくる。草食系の主人公がこのところの世相を表す草食男子にも通じるものがある。背景の京都が浪人生活に旨く溶け込み、2度、3度と読みたくもなり、読むほどに、じんわりとこころにしみ入る。

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タイトル 『青色オヤジン』
作者 むうら。
ページ(立読参照) 74ページ
データ形式 PDF
販売価格 315円

ひと昔前の京都を舞台にした大学受験浪人生の物語り。

●兵庫県の片田舎から京都に出て予備校に通う藤森省太、通称省ちゃんは、幼いまでにピュアな恋愛観念を持つ、一世代前の大学受験浪人生。受験からしばし開放された省ちゃんは七人の下宿仲間と「観察」と称するノゾキや、京都見物を楽しんでいた。ある日、予備校に通う途中の加茂川べりで、男にビンタをくらって、気を失ったように倒れた女性を見かけ声をかける。女性は何もいわずに去って行ったが、ひそかな恋心を抱く。女性の名は一上加奈。

●カナさんは大和撫子のような性格で、省ちゃんと同じくピュアな心の持ち主だった。後日再び、男と面と向かって立ち尽くすカナさんを見かけ男と一悶着。再開したふたりは、またたく間に恋に陥る。送り火の山や宝が池公園でデートをした後、カナさんのマンションで心を通いあわせる。

●時を同じくして、省ちゃんは中学時代の同級生・上野知恵に偶然に京都で出会う。上野は男に騙されている。受験生ながらも下宿仲間といっしょに探偵よろしく男の居所をつきとめ、さらにカナさんとともに男の正体をあばく。定食屋に入った男と背中合わせになり、聞き耳を立てた省ちゃんは、上野に対するあまりに酷い男の言葉に、我慢できず罵声を浴びせ、連れの男に殴られる。

●上野に別れるように忠告するが、上野は、泣き崩れ去っていく。その後上野が再び現れて、省ちゃんに迫ってくる。一方、カナさんは東京に帰省中に事故にあう。電話も住所も知らない省ちゃんだったが、東京をたずね、カナさんの病院を突き止める。が、眠っているカナさんに一言つげるだけで帰ってくる。

●松葉づえをついて京都に戻ってきたカナさんを、喜んで迎えた省ちゃんだったが、下宿仲間と行った「調査」で自身も骨折。二人でお互いの姿に笑いあう。

● 高校の同級生との京都での同窓会、浪人生の大学や知能に関する偏見なども交え、ピュアな恋愛や、一昔前の懐かしいような受験生の生活、京都の魅力などを織り込む。