『幻視の傷痕』

読み応えのある内容とボリューム。ミステリー好きの読者には懐かしい匂いのする作品で、しっかりとストーリーを立てて書き込んであり、無理がなく飽きのこない展開がある。

立読み

もちろん無料です。15ページ分掲載しています。

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タイトル 『幻視の傷痕』
作者 溝一洋
ページ(立読参照) 147ページ
データ形式 PDF
販売価格 315円

東京で起きた轢逃げ事故で、妻を亡くした香月遼一(40歳)は、同じ事故で失明という障害を負った一人娘杏螺(あんら)の治療に奔走していた。ある日、親友の秋葉から連絡を受け、F市に住む鍼の名医桜木謙一(70歳)に治療を託すことになる。しかし、治療に行く直前、香月は自分自身が交通事故に遭い、頚椎損傷で長期入院を余儀なくされる。事故で助けた少女黒崎葵の父が見舞いに来るが、偶然にも高校の同級生とわかり、いまでは市長選にまで出る有力者となっている相手に香月は驚く。

入院先に轢逃げ犯の捜査に来た津田は、定年直前の刑事で、かつてF市で起きた前代未聞の「連続レイプ殺人事件」の被害者遺族でもあった。香月の妹もその被害者だった関係で二人は親子のような関係だった。

事件は、23年前に5人の女子高校生がF市の霊園の森でレイプされマスコミの過剰報道が原因で、全員が連鎖的に自殺すると言う悲劇的な未解決事件であった。

折りしも、香月が入院する直前、同じF市で眼球と陰茎を切り取られるという猟奇事件が二件連続で発生した。被害者は事件の有力容疑者だった清水と高田の二名だったことから、津田は独自に捜査を開始する。

一方、直前に死んだ娘の日記(『幻視』という詩)で犯人の正体を知った桜木が、元警視庁刑事の池上(姉が事件の被害者)を仲間に入れて、復讐を果たそうと計画を実行していた。レイプ犯は3名いたが、最後の一人明確にわからず、誘導作戦として確実に犯人だとわかった清水と高田を襲った。桜木たちは眼球を犯人に送りつけようと準備したとき、治療を受けに来た秋葉と杏螺にその眼球を見つけられ、やむなく監禁することになる。

入院先を抜け出した香月は単身、桜木の隠れ家を探しあてるが、犯人が送った刺客に、桜木も香月も危うく殺されそうになる。 桜木は執念で生き延び、ついに連続レイプ犯と対峙する。

対外離脱体験の記録であった娘の詩を解読した桜木は、非科学的な証拠(臨死体験の夢で見た頭の傷=三日月形の傷痕)では、警察は動けないと断定した。桜木は香月の力を借りて、犯人である黒崎を追い詰める。桜木の鍼の技術は魔術的だった。黒崎はその魔術で自殺へと導かれ、かつて自分が犯した少女たちと同じ、皮肉な運命を辿る。

杏螺の目は奇跡的に回復する。杏螺も臨死体験をし、真犯人がいることをしていた。やがてデジカメを駆使し、母親を轢き殺した本当の犯人をつきとめ自首させる。香月は、身代わりとなった少年の両親に真実を告げ、息子を信じ続けてきた両親に詫び、再び人を信じ、妻が残していった娘とともに生きようと決意する。